東京スカイツリーと私

聞き手:植村 篤道(KSP危機管理研究室上席研究員)
三角 鉄男(KSP社長)

東京スカイツリ―の警備は「仕組み」を作って連携力で乗り切る

東京スカイツリーが今の場所にできるというのはいつ知りましたか?

2年くらい前ですか。まったく予想していませんでした。仕事の面でも、当社が受けられる規模ではないし、東武さんがやるのだろうと思っていました。要請があれば、協力させていただければよいという程度に考えていました。そうしたところへ、例の論文を知らされ、埼玉県警備業協会の上園会長さんからも弊社常務に話がありました。また、今年の初めに本所警察で“武道始め”があった際、山崎墨田区長からツリ―の話があり、安全・安心まちづくりの重要性を強調されていました。それを聞いて、チャンスだということで、区長を訪問してより詳しく話を聞いたんですね。それで、区長がツリ―の安全確保についてかなり力を入れているのが確認できた。その時、防犯パト導入の際に、墨田区の窓口をされた方が秘書課長になっていて大変驚きました。極めてスムーズに、ツリーに関して、区と弊社の関わりが始まったんですね。

当初、ツリーに関わることをチャンスと捉えたわけですが、今ではどうですか?

連休中の5月2日に、徒歩で周囲を回ったんですが、これは大変な施設ができると再認識しました。ツリ―とそれ以外の施設が集まった複合施設になるわけですね。あれだけのものを担当するとなれば、警備もそれなりの規模になります。手立てとしては“仕組み”を作ることで乗り切れるとみています。

というと?

警備業も1-4号とあって、専門分野ごとに資格制度などもできています。小さい企業が1社で仕事をやるのは徐々に難しくなっている。それに、区長ができるだけ仕事を地元の企業に出したいと話していることもあり、防犯連絡協議会を強化することで、対応できるのではないかと思っています。

今後、提案型警備が増えていくことは間違いない

錦糸町で業務を始めて32年たち、これまでいろいろあったと思いますが、ツリーに関わることで、これからのも大きく変化しそうですね。

これからの変化の方が大きいと思います。警備業では今年から、大きな案件を担当できる“セキュリティー・プランナー”という資格ができました。これは、幅広い警備実務経験を下に、多様な複合建築物などの警備計画を自分で作ることができる人ということです。既に、そのための講師の研修が終わり、第一回の試験に当社からも受験させる予定です。その後、順次、有資格者を増やす考えです。  ツリ―も企画・立案による提案力を求められています。今後は、こういう提案型警備が増えていくことは間違いありません。

警備業界も大きな曲がり角に来ているということですね。各社生き残りをかけて取り組むのでしょうが、淘汰されるところも出そうですね。

既にそういう傾向があります。簡単に、警備業を法律上で分類すると、1号が施設、2号が交通誘導、雑踏、3号が輸送、4号が身辺警護などとなっています。わが国の警備業は交通誘導が7-8割を占め、企業の5割が交通誘導専門会社という状態です。これは建設工事の発生量、ゼネコンの発注に左右されるわけです。当社は、開業時から2号はやらないでいこうと決め、いろんな業務に幅を広げてきました。その間に、ノウハウを吸収するためにも同業者との付き合いを大事にして、友好を深めるという方針で臨んで今日があります。

その延長上にツリ―の仕事があるという必然性がありますね。

そう思います。大手だからといってすべての業務はできないし、かといって同じような規模との交流だけでもいけない。そんな状況で、当初は大手との付き合いはきついこともありました。それもこれも、人のつながりで乗り切って来られた。

警備は奥が深い

ところで、機械警備についてはどう見ていますか。

今後も社会のニーズは増えるでしょう。設備投資コストがかかるので、当社は範囲を決めて慎重に拡販しています。メニューの一つとして用意しているということです。今後もホームセキュリティは増えるだろうし、高度化し、セコム、ALSOK2社の競争が続くのでしょう。当社にも、協力会社になって欲しいという声はかかりますが、今のところ独自にやっていく考えです。
いずれにしても、警備は奥が深い。セキュリティー・プランナーとしてのKSPを強く打ち出すためにも、東京スカイツリーは格好のスプリングボードになる、転換のきっかけになると思っています。

KSPはどういう会社でありたいと考えますか。

人を大事にできる会社です。信頼関係を築いていくことがすべてだと思いますから、これからの人もポリシーとしてこれは引き継いでほしいと思います。

聞き手:植村 篤道(KSP危機管理研究室上席研究員)
小野寺 二男(KSP副社長)

周辺地域は、墨田区による早急なルール作りが求められている

東京スカイツリーが来るのはいつごろ知りましたか?

新聞発表と同じくらいですね。当時は、東武さんの系列企業でそれなりの警備態勢を敷くのだろうと思っていました。大変なことになるというイメージはあまりなかったですね。

当事者意識はあまりなかった?

恥ずかしながら、例の論文を読んでからですね。一番危惧するのは、混雑、トラブル、事故などいろんな不測の事態について、東武さんも墨田区もあまり考えていないようであることです。イメージにかなりギャップがあるのではないかと。

大変なことになりそう、というのは具体的には?

いくつかありますが、墨田区は駐車場に入るラインは左折だけだと言いますが、6号線からの信号は間隔が短いといったことなど、今の状態で目いっぱいの交通量であり、それにプラスされると渋滞が一気に500m、1kmに延びるのは明らかです。千葉方面、四ツ木方面などからも四つ目通りに入りきらない。一般的には、どうやって“流す”かを考えるわけですが、業平方面には踏切があるなど、それも簡単ではない。これまでの経験と勘からすると、数十mの渋滞がたちまち発生する可能性が高い。結果、路線バス、地元商業活動などへの影響は甚大で、錦糸町あたりまで線から一気に面の状態に移行してこう着するのではないかと。  また、電車は駅とツリーの間の人の流れを調整すると思うが、川があって、線路があって、駐輪スペースがあってという周囲の環境なので簡単ではない。墨田区の計画では、自転車で周遊するという構想もあるが、敷地に入れないことが大事。

自転車は外に?

多少の駐輪場はすぐに満杯になる。それなら、京成橋東側の川の上に蓋をする、暗渠にして駐輪場にしたらどうかと思う。横川親水公園でこれに近い例がある。

遠くから来た人は、もったいないからすぐには帰らない

人の流れについては?

商業施設が東西街区に各種入るが、滞留時間をどの程度と見るかが問題。ツリ―への入場待ちなどを考えると、少なくとも3時間くらいか。遠くから来た人は、もったいないからすぐには帰らないだろう。中がいっぱいになったらどうするのか。どこかの時点で、入場制限をかけざるを得ないだろう。

事業者は、ツリ―での滞留時間を1時間と見ている。

施設全体でみると、それは甘いのではないか。人がどんどん来てあふれるのが怖い。墨田区が勧める地域の回遊コースもあるので、情報をどんどん流して人の流れをコントロールすることが大事だ。クルマも、警察の協力を得て、少なくとも半径50m以内には近づけないようにしたい。  よそから回り込んでくるとパニックになる。前もって情報を周辺に流し、巡回バス路線上に駐車スペースを確保して、そこに車を置いてバスを利用するよう呼びかけるなども必要だろう。

空きスペースを確保できるかが問題

駐車スペースは1000台確保しているというが…。

東西街区に入るテナントが使用する分などを引くと、実際はそこまで確保できないのがこの種の施設の通例。もっとも、クルマをさばけても、人は簡単ではない。人は、電車から降りるとすぐにツリ―などに向かうが、電車がトラブルで動かないなどの際には、近隣に観光コースを用意してそちらへ誘導するなどをする必要がある。錦糸町まで1.5㎞だが、この間の整備も必要で、考えれば考えるほど怖くなる。
筑波万博の際に経験したが、一つのパビリオンに2時間くらい平気で待つ、車も渋滞覚悟。その結果、周りの商業施設へ買い物、食事へ行くのはいいが、人がいっぱいになった時に、ちょっとしてきっかけで一方向に人が流れることがある。一般的には、人の集団は分断するようにし、集団をできるだけ小さくして空きスペースを作るのだが、これが確保できるかということだ。イベントがあればなおさら。
今後、信号機の調整もあるだろうが、施設内部の情報を外に流す区ふと連携も課題で、人も車もどうやって分散できるかということだ。江東、台東区などとの連携もこれからで、これも急がれると思う。  過日も、東武さん橋の上でバスを止めて、客にツリ―の写真を撮らせていた。後続はすぐに渋滞するわけで、周辺でのバス、クルマの動向について“ルール作り”が必要になっている。墨田区は、ツリ―周辺地域での出店、歩行、駐車、通行規制などについてのルールを早急に作成して、土日、祝日の混乱を防止し、夏休みに備えるべきだと思う。

東武橋上に警備員を配置する立場からは?

大きく二つある。一つは、墨田区はこれまで“ものづくり墨田”の路線だったが、今後は観光に力を入れるということなので、来訪した人に「混んだけれども楽しかった」と思って帰っていただけるようにしたい。二つ目は事故防止をするが、実際にやってみるといろんなことが出てくるだろう。記録をしっかり取って、提案に結び付けたい。

9月末までにクルマの動線について詳細な調査、分析

今後の取り組みについて考えていることは?

具体的に、見て分かりやすい資料を作成しようと思っている。9月末までにはクルマの動線について詳細な調査、分析を終えたい。クルマが見えれば、人も見えてくるだろう。また、11月に曳舟駅前でイトーヨーカドーの大型店がオープンする。この立地が、道路と線路に挟まれているということで、かなり動線が厳しいという点で、ツリーの参考になる。この開店直前の状況なども精査したい。これで、地域の混雑の様子が見えてくるだろう。

危険地図を作る、危険を“見える化”するということですね。

例えば、自動車のナビは押上から出る指示を出すなど、区役所の前から抜ける道などは支持しないわけです。古いナビだと、ツリーも出てこない。広い道しか示さないし、皆が同じ道路を通るということになる。そこで、「ツリーへはここから」といった看板をポイントに立てることで、クルマの量を分散するなども必要でしょう。
ただし、それをやることで、当然地元からは不協和音が出る。「なんで通すんだ」とね。そこは、墨田区が丁寧に説明して歩かないといけないと言ったことも出てくるでしょう。
また、自転車への認識を強化する必要がある。クルマや人は交差点で誘導できるが、自転車はすっと抜けて行って、出会い頭にぶつかるということがある。業平橋駅北側は自転車の利用度が高い地域でもあります。

椅子、乳母車も結構界隈を通行しています。

周辺の町の歩道などは、車椅子は想定がいでしょう。商店にしても、恩恵のある店とまったくない店が出るでしょう。そうすると、自分の店の周りだけを対象にした独自のルールが乱立することになりがちです。これがまた、問題の種になる。そうなる前に、周辺範囲を定めた統一ルールであるとか、観光バスの一時待機スペースであるとかを整備すればこうしたことはかなり緩和されるのではないか。例えば、テキヤが勝手に店を出す、人だかりができるとなると、人、クルマの流れが滞る。突然ボトルネックが発生するわけです。そういうことにならないようにしないといけない。墨田区がそうしたことについてのルールを打ち出す時期に来ているんじゃないでしょうか。

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2007年12月20日
株式会社 KSP
代表取締役 三角 武一郎

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埼玉県さいたま市桜区中島3-3-3
TEL 048-853-8030
FAX 048-852-8811




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